

益子林業のブログ
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ちょっと難しい注文材 2025.08.27
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とちぎ八溝杉を製材・販売する益子林業です。
日頃よりご愛顧いただいている、設計事務所からご注文を頂きました。注文書には以下のように書かれておりました。
『霧除け材 杉 (赤)特等 1面のみあらわし 超仕上げして納品してください。
3400×32×280 1 枚
2600×32×280 1 枚
納期:最短にてお願いします。』
こういうご注文は良く頂きます。益子林業の得意とするところではございますが、いくつか難しいポイントがあります。
POINT1.化粧材でかつ、赤特等であること
POINT2.数量が2枚であること
POINT3.納期が短いこと
POINT1は、化粧材であるため、特等と言えども見た目が美しくなければなりません。
したがって、末口40cm以上の良材(樹齢80年以上)の原木の必要があります。
POINT2は、2枚の注文でも、人工乾燥時に材面割れが発生するリスクを考慮して3枚の原板を作る必要があります。つまり、原板のコストがそこで1.5倍になってしまいます。
POINT3は乾燥機に入れるにあたり、流石に3枚だけ入れて運転する訳にはいかず(乾燥コストを考慮して)、かと言って他の材料と一緒に入れると乾燥スケジュールを組むのが難しい点です。乾燥スケジュールでミスをするとステッカーマークが付いてしまいます。
当然少量の特殊材となると通常の単価よりも高くなるのですが、かと言っていくらでもコストをかけて良いはずがありません。
ですから注文材と一緒に何を乾燥機入れて、どのような乾燥スケジュールを組むかが難しいのです。
さらに、乾燥過程での材のカップ反りを考慮して、原板の寸法をどの寸法に製材するかも重要です。
品質とコストをシミュレーションして、原板寸法40×310、乾燥スケジュールは乾球温度52℃、湿球温度40℃以下をキープしながら数日間経過させて、最終的に乾球60℃、乾球45℃以下で窯出し時含水率10%以下を目標に仕上げるスケジュールを組みました。
乾燥終了時の具合は以下の写真の通りです。
真ん中の2枚が注文材です。
これにプレーナー、超仕上げを施して納得のいく製品が出来れば今夜も美味しいビールが飲めるのですが、結果は如何に?!
お陰様でおいしいビールが飲めました!!